ビールの栓が抜かれて客席まで運ばれてくるのはなぜ?

少しだけ想像してみてください。

居酒屋や旅館で瓶ビールを頼んだら、どのような状態で私たちのところに運ばれてきますか?

その瓶ビールの栓はすでに開けられているか、店員さんや女将さんがその場で開けて席を離れますよね。これって実は、お店や旅館のサービスではなく、そうしなければならないルールなのはご存知でしたか?

お酒を販売するための免許には、実にいろいろな種類があります。また、販売するための条件も非常に細かく厳しく定められております。数ある決まりの中の1つに「販売場所と提供場所は分けなければならない」というものがあります。これは、お酒を販売するところとお酒を飲むところは区別しなければならないというものです。

つまり、居酒屋や旅館はお酒をお客さんに提供することはできますが、持ち帰ることができる状態では「販売すること」になるのです。 野球場や野外のイベントなどでビールがプラスチック製のコップなどに注がれて提供されるのも同じ理由です。 そのため、角打ちや有料試飲をされている酒販店には、行政の指導に従って2つの場所をしっかりと区切るだけでなく、「飲食店営業許可」も必要となります。

ちなみに、新幹線の車内販売の中にある缶ビールは、「販売」なので栓を開ける必要はありません。販売するための免許をJR各社は取得されております。

このように考えると、普段の何気ない場面の中にも、たくさんのルールと笑顔の裏にある隠された「努力」があることが分かりますね。